2006年01月14日

ロシア人の名前2 天使と熊

ロシア人男性によくある名前で「ミハイル」というのがあります。
これは英語の「マイケル」、フランス語の「ミッシェル」、ドイツ語の「ミヒャエル」、イタリア語の「ミケーレ」などと同じで、キリスト教の「大天使ミカエル」から来ています。

余談ですが、大天使ミカエルはとても人気があって、各国にこの大天使の名前をつけた聖堂があります。モスクワのクレムリン内にある「アルハンゲリスキー(大天使)寺院」もそのひとつ。この寺院には有名な大天使ミカエルのイコン(聖像画)があります。

さて、ミハイルの親称は「ミーシャ」です。そしてご存知の方も多いと思いますが、1980年のモスクワオリンピックのマスコットの名前は「小熊のミーシャ」でした。
実はこの「ミーシャ」という名前は、このマスコットのためだけのものではなくて、熊の親称が「ミーシャ」なのです。日本で犬のことを「ワンちゃん」と呼んだりするのと同じ感覚でしょうか。


ところでシュトは、なんで大天使と熊が同じ名前なんだろうとずっと不思議に思っていました。ぜんぜんイメージが違うじゃんって。
しかし、ロシア人の友人に教えてもらったのですが、実は「熊のミーシャ」と「大天使のミーシャ」は別の言葉だったのです。

ロシア語で熊はмедведь(メドヴィエチ)と書きます。そしてその親称として「ミーシュカ」という名前ができ、それがもっと縮まって「ミーシャ」とも呼ばれるようになりました。


ロシア語ではこう↓

медведь=>мишка=>миша

ミハイルはこう↓

Михаил=>Миша


なにが違うかというと、単語の始めが小文字と大文字。つまり「熊のミーシャ」は普通名詞、「天使のミーシャ」は固有名詞なのです。ただ友人によれば、どちらのミーシャだったにせよ、「ミーシャ」と聞くと、ロシア人は「天使」よりも「熊」をイメージしてしまうんだそうです。

熊はロシア人にとって、とても親しみのある動物です。ボリショイ・サーカスの熊の芸当は有名ですよね。一度、モスクワの大きなお土産マーケットの近くで「熊の芸当」をやっているところを見たことがあります。民族衣装をつけたおじさんが、やはり衣装を着けた熊に芸をさせていました。ちょうど日本の猿回しみたいでした。

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2006年01月12日

ロシア人の名前1

ロシア文学を読んだとき、同じ登場人物がいろんな名で呼ばれるので「誰が誰だかわからなくなった」という経験をお持ちのかたはけっこういるのではないでしょうか。
今日はこの「ロシア人の名前」のなぞ(?)についてお話します。


ロシア人の名前は一般的には、名前(いわゆるファーストネーム)、父姓、苗字の3つから成り立っています。
父性というのはお父さんの名前から作られます。お父さんの名前の語尾に、男性だったら「ヴィチ」、女性だったら「ヴナ」がつくのがよくある形。

外国ではロシア人の名前も欧米式に名前・苗字の順番で表されますが、実はロシア人も日本人と同じで、正式には苗字が先なのです(正確には苗字・名前・父性)。

たとえば、プーチン大統領の場合、

プーチン・ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ

となります(父性からお父さんもウラジーミルという名前だとわかります)。
公式文書には(たぶん)このように書かれているはず。

日本でも人気の高いシャラポワの場合は、

シャラポワ・マリヤ・ユーリエヴナ

となります(お父さんはユーリーさん。彼女の場合はアメリカ在住なのであまり関係ないかもしれませんが)。


ところで、ロシア語には男性形・女性形・中性形・複数形とあり、これは名前にも適応されます。よって苗字も男性と女性では語尾が変わります。プーチン大統領の奥さんや娘さんの場合は「プーチナ」、シャラポワのお父さんは「シャラポフ」です。


しかし、普通の会話でこのフルネームが使われることはまずありません。
普通はだいたい名前だけ、しかも親称(ロシア人は「短い名前」と言います)で呼ぶことがほとんどです。

親称の形はだいたい決まってきて、ウラジーミルの一般的な親称は「ヴァロージャ」、マリヤは「マーシャ」。
二人とも家族や友達にはこのように呼ばれているのではないでしょうか。

よくある名前と親称は以下のとおり(これでロシア文学が少しはわかりやすくなるかも?)。中にはぜんぜん原型をとどめていないものもあるのですが、覚えておくと、ロシア人と付き合うとき(たぶん)役に立つでしょう。


男性の場合

ミハイル    → ミーシャ
アレクサンドル → サーシャ、シューリク
ドミトリー   → ジーマ、ミーチャ
アレクセイ   → リョーシャ、アリョーシャ
セルゲイ    → セリョージャ
パーヴェル   → パーシャ


女性の場合

タチヤナ    → ターニャ
ガリーナ    → ガーリャ
エカテリーナ  → カーチャ、カチューシャ
オリガ     → オーリャ
ナターリヤ   → ナターシャ
イリーナ    → イーラ

なお、男性と女性で同じ名前(語尾だけ違う)場合は、親称は同じになります。

例:エヴゲーニー(男)、エヴゲーニヤ(女) → ジェーニャ


ただこの親称で呼び合うのは、親しい人やある程度面識のある人だけです。
初めて会うひとや、目上の人、あらたまった関係の人、公式的な付き合いの場合は「名前・父姓」で呼びます。

プーチン大統領なら

ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ


シャラポワなら

マリヤ・ユーリエヴナ

となりますね。

私の友人の名刺は、真ん中に大きく名前・父姓が書かれていて、その下に少し小さく苗字が書いてありました。


日本と違って、ロシアではあまり苗字というものが使われません。そもそも夫婦別姓は普通で、しかも子供も好きな方を選ぶことができたり、離婚しても夫の苗字を使ったりなど、扱いがなんか軽いです。ひとつの家族の中で5つの苗字が使われているなんて例もありました。
また、何年か前に新聞で呼んだのですが、プーチン大統領ファンの19歳の孤児の少年が、自分の苗字をプーチンにしてもらった、ということがありました(たしかその記事の見出しは「プーチン大統領に息子ができた」だった・・・)。

さあ、これでロシア文学も怖くない!(かな?) 
シャラポワが来たら「マーシャ、がんばれ!」と応援してみてもいいかも!
でも、プーチン大統領に「ヴァロージャ!」って話しかけるのはちょっと怖いです・・・。
posted by シュト at 18:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア人の名前 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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